高尿酸血症とは、血液中の尿酸が高い状態です。尿酸値が7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と診断されます。高尿酸血症の状態が続くと、血液中では溶けきれなかった尿酸が結晶化し、体内に蓄積し、関節などにたまって炎症が起こり、激痛を伴う痛風発作を引き起こしたり、尿管や膀胱に結石(尿路結石)ができると痛みを起こしたりすることがあります。 食事の欧米化や運動不足もあり、近年特に男性で痛風患者が増加しています。またメタボリック症候群の人は尿酸値が高い傾向にあります。
セルフチェック
下記の項目に当てはまる方は
高尿酸血症のリスクが高い状態です。
生活習慣の改善や、病院での検査が必要です
- 飲酒の習慣があり、アルコールを多く摂取する
- 運動をあまりせず肥満気味である
- 血縁者に痛風患者がいる
- 高血圧である
- ストレスを感じることが多い
- 肉類を好んでよく食べる
- 中性脂肪が高いと指摘されたことがある
検査方法
当院では、次の2つの検査で
高尿酸血症の診断を行います。
各種検査と問診を
組み合わせることにより
正確な診断が可能になります。
血液検査
尿酸値、炎症反応、血糖値、HBA1c、コレステロール・中性脂肪などの脂質、腎機能など
尿検査
尿蛋白、尿糖、尿潜血などのチェック
名東区メディカルケア内科の
高尿酸血症治療の強み
STRENGTH. 1基本となる生活習慣の改善と薬物療法による効果的な治療
高尿酸血症は糖尿病や高血圧、肥満などの生活習慣病なども合併していることもあり、薬による治療だけでなく生活習慣の改善を目指し、病気を予防したいと思っている方に誠心誠意サポートします。患者様の日常のお食事や運動の習慣の中から改善できることはないかを考えていきます。
STRENGTH. 2長期的な治療を無理なく続けられる
生活習慣病の治療は長期的に継続していかなければなりません。そのモチベーションを維持していただくために、無理なく簡単にできることを積み重ねていくために、丁寧に患者さまと一緒に考えていきます。スタッフ全員が患者さまのことを想い伴走していきます。
STRENGTH. 3生活習慣病の治療の基本となる食事療法を重視
年齢、性別、高尿酸血症だけでなく、他の疾患やその重症度、合併症の程度などを考慮しつつ、年齢や性別、生活スタイルに応じた食事療法を管理栄養士がご提案します。食事や栄養はトータルで考えていく必要があります。
高尿酸血症とは?
高尿酸血症とは、尿酸値が高い状態(7.0mg/dL以上)が続くことを指します。尿酸値が高い状態が続くと、血液中に溶けきれなかった尿酸が結晶化して関節などに蓄積され、炎症を起こし痛みを感じるようになります。これが痛風発作と呼ばれるものです。
高尿酸血症の原因として、プリン体の過剰摂取が挙げられます。プリン体は臓器を動かしたり運動したりするために使われるエネルギー物質であり、体内で常に作られています。
プリン体は体内でエネルギーを作り出した後は肝臓で分解され、その際に老廃物として尿酸が作られます。尿酸は通常、尿や便として体外に排出されてバランスを保っていますが、過剰に作り出されたりうまく排出できなかったりすることで体内に溜まっていきます。
高尿酸血症は長期の治療が必要
痛風は一過性でおさまりますが、適切な治療をせずに放置すると多関節炎や関節変形、腎障害などの症状を引き起こします。
高尿酸血症をコントロールするためには、長期にわたって治療が必要となることがあります。
また、高尿酸血症のみではなく、高い確率で発生する合併症である糖尿病、高血圧などの生活習慣病の対策も併せて行っていくことが重要です。
高尿酸血症になる原因
通常は、体内でプリン体から産生された尿酸は腎臓や腸管から排泄されるため、血液中の尿酸量は一定に保たれています。しかし、尿酸の産生が増えたり排泄が低下したりすることでバランスが崩れると血液中の尿案量が増加します。
尿酸の産生が増えている場合は、プリン体を多く含む食べ物やアルコールの過剰摂取が原因である可能性が高いため、食生活の見直しが必要です。
また、プリン体が入っていないもしくは少ない焼酎やウイスキーは摂取しても問題ないと考える人がいますが、アルコール自体に尿酸値を上昇させる働きがありますので、すべてのアルコールの摂取を控えることが大切です。
他には、ベンチプレスなどの筋トレによる無酸素運動は、新陳代謝が活発化することで尿酸の産生が増え、尿酸値が上昇します。また、乳酸の増加により尿中の尿酸が排泄されにくくなり、結果として尿酸値が急上昇することもあります。また、近年、遺伝的要因やストレスも尿酸値を上昇させる原因となることがわかっています。
高尿酸血症が引き起こす他の病気とは
高尿酸血症を放置していると下記のような病気につながる可能性があります。早めに病院を受診することで他の病気の予防につながります。
痛風発作
血液中の尿酸値が高い状態が続くと、関節内で尿酸塩と呼ばれる結晶が蓄積します。その結果、関節で急性の炎症を起こし、強い痛みを伴う痛風発作が起こります。通常は一か所の関節で炎症が起こります。
痛風発作が起こっている最中は血液中の尿酸値は低くなることが多いと言われており、発作時の尿酸値よりも、過去にどの程度の高尿酸血症の状態が続いていたかが重要となります。
治療については、通常は痛み止めの内服または自然に改善することもありますが、再発することもあります。そのため、血液中の高尿酸状態を解消して、痛風発作の予防をする必要があります。
動脈硬化性病変
高尿酸血症は心血管疾患、脳卒中、慢性腎臓病など血管内皮の障害や動脈硬化に関連した病気のリスクにもつながります。これらの病気の予防するためにも高尿酸血症のコントロールは大切です。
また、尿酸値が高い方は肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧などのメタボリック症候群を発症する可能性が高くなります。メタボリック症候群は全身の動脈硬化による病気に関与しているので注意が必要です。
高尿酸血症の治療方法
高尿酸血症の治療の目的は、痛風発作を起こさないようにすることです。さらに、高尿酸血症による腎臓の障害や尿路結石の発症・悪化を防ぐことが大切です。
高尿酸血症には高血圧、脂質異常症、耐糖能異常、糖尿病、肥満などの生活習慣病の合併が多いため、健診で高尿酸血症を指摘された場合や、痛風を発症した場合に生活習慣病がないかどうかも調べてみることをおすすめします。
また、高尿酸血症の人には、食べ過ぎ、運動不足、飲酒、睡眠障害、ストレスが多いなど生活習慣がある人が多いため、生活習慣の改善も必要です。
当院では、治療の基本である食事療法については、管理栄養士が生活スタイルやその他の疾患など個々の生活スタイルに沿った指導を行っていきます。
高尿酸血症の方の食事について詳細はこちら日本の高尿酸血症の治療ガイドラインでは 「7.0mg/dLを超えていて痛風発作や痛風結節がある場合」 「尿酸値が9.0mg/dL以上」もしくは「8.0mg/dl以上で高血圧、脂質異常、糖尿病、虚血性心疾患、メタボリック症候群などの合併症がある場合」は薬物治療をすることが推奨されています。
高尿酸血症の薬物治療では、尿酸降下薬や尿酸生成抑制薬を使用します。
尿酸降下薬には尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。
尿酸生成抑制薬には、アロプリノール(ザイロリック®)、フェブキソスタット(フェブリク®)、トピロキソスタット(ウリアデック®、トピロリック®)、尿酸排泄促進薬にはベンズブロマン(ユリノーム®)、プロベネシド(ベネシッド®)があります。
治療中は水分を十分に摂取することもポイントです。
高尿酸血症を予防するために
高尿酸血症を予防するためには、食事や運動などの生活習慣を見直す必要があります。また、それに加えて水分を多く摂取することも重要です。
食事
高尿酸血症の原因としてプリン体の過剰摂取が挙げられますが、プリン体を全く取らない生活は現実的ではありません。肉や卵などの過剰摂取を避け、肉汁や内臓を含む食品を制限することからはじめましょう。また、肥満の人は体重を減らすだけで尿酸値が改善する場合もあります。
海藻類や野菜類を積極的に摂ると尿がアルカリ性に傾き、尿酸が排泄されやすくなり、尿管結石や膀胱結石の予防につながります。このような食材も積極的に摂取しましょう。
アルコール
プリン体が含まれる量に関わらず、アルコール自体が尿酸値を上げてしまいます。おつまみにプリン体が多く含まれるものも多いため、「週に何日か休肝日をつくる」「おつまみは野菜にする」などの工夫が必要です。
水分摂取
尿量が増えると尿酸を多く排泄できます。1日2L以上を目安として水分を摂取することが推奨されています。
運動
激しい筋トレなどの無酸素運動を行うと、プリン体から尿酸が急激に生成され血液中の尿酸値が上昇します。尿酸値が高い場合は、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を継続して行うことが大切です。
高尿酸血症についてのよくある質問
高尿酸血症についてよくある質問をまとめました。
高尿酸血症について気になる点がありましたら、
こちらの内容をご確認ください
- 高尿酸血症を放置するとどうなりますか?
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尿酸値が高いまま治療せずに放置すると、痛風発作や脳卒中、心血管疾患、慢性腎臓病などの動脈硬化による病気を引き起こすことがあります。尿酸値は基準値内に保つことがすすめられています。
- 高尿酸血症患者の食事はどのようなことに気を付ければ良いですか?
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まずは摂取エネルギーを適正化して肥満を防ぐことが大切です。既に肥満の方は減量を目指しましょう。プリン体は魚の内臓などに多く含まれているので摂取量を減らしましょう。海藻類や野菜、キノコ類は尿をアルカリ化し、尿からの尿の排泄を増やすので積極的な摂取をおすすめします。1つの食材に偏らず、バランスよく食べることで自然とプリン体の取り過ぎは抑制できるでしょう。アルコール類はアルコールそのものに尿酸をあげる働きがありますので、プリン体を多く含むものだけではなくアルコール全般の摂取を控えましょう。高尿酸血症の方の食事については、次の記事で管理栄養士が詳しく解説しているので、ご参考にしてください。
高尿酸血症の方の食事について詳細はこちら