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1型糖尿病|メディカルケア内科の診療科目

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1型糖尿病とは、自己免疫反応によってインスリンを産生する膵臓のβ細胞が破壊されることにより、インスリンが作られなくなることで高血糖の状態になる疾患です。

発症時期は小児~青年期に多く、遺伝的要素は2型糖尿病よりも少ないと言われています。糖尿病の患者さんの5%未満を占め、病気の発症に食事や運動、ストレスなどの生活習慣とは直接関係ありません。症状としては、口が渇く、尿の量が増える、急激に体重が減少する、疲れやすくなるなどの症状が挙げられます。

1型糖尿病とは?

1型糖尿病の分類

  

1型糖尿病は、病状の進行スピードによって下記の3つに分類されます。

急性発症1型糖尿病

急性発症1型糖尿病は、1型糖尿病の中で最もよく見られるタイプで、発症から数か月でインスリン療法が必要な状態になります。徐々に膵臓のβ細胞が減少しインスリン分泌低下し次第にほとんどインスリン分泌がなくなります。自己免疫機序により発症するといわれており、抗GAD抗体などの自己抗体が陽性となります。

緩徐進行(かんじょしんこう)1型糖尿病

数か月~数年で緩やかにインスリンの分泌が低下し、進行していくもので、2型糖尿病と発症形式が似ているため、医師による慎重な見極めが必要となります。抗GAD抗体などの自己抗体を測定することが必要となります。2型糖尿病としてスルフォニル尿素剤(SU剤)のような薬を長期に使用した場合、β細胞の機能が低下し、早期にインスリン分泌が枯渇することがあります。β細胞の機能低下を防ぎ、良好な血糖コントロールを保つために、インスリンによる治療を行います。ご自身の膵臓から分泌されるインスリンが比較的保たれている場合は、インスリンの投与量や注射回数を減らすことが可能です。

劇症1型糖尿病

文字通り急激に進行するもので、発症から1週間ほどでほぼ完全にインスリン分泌がなくなり、症状が進行するため、すぐにインスリン療法を受けなければ、糖尿病ケトアシドーシスという緊急合併症を発症する可能性が高まります。早期の診断と治療の開始が重要です。約70%の人で、発症前に感染症状(発熱、のどの痛み・咳・鼻水などの風邪症状、腹痛や下痢などの消化器症状)を認めます。

1型糖尿病の原因

1型糖尿病の原因は、自己免疫反応で膵臓のインスリン産生細胞が破壊されることによってインスリンが欠乏することによって発生します。その原因は、約90%が自己免疫反応の異常、残り10%がウイルス感染などによる特発性とされており、根本的な原因ははっきり分かっていません。1型糖尿病は、病気の発症に食生活や運動などの生活習慣は関係ありません。

また、1型糖尿病は通常遺伝しないとされていますが、疾患を引き起こす原因の一つとなっている遺伝子としてHLA遺伝子、インスリン遺伝子、CTLA4遺伝子、PTPN22遺伝子などがあり、これらの遺伝子を有する患者では家族内発症も認められることがあり、一般的な集団と比較するとやや高率といわれています。1型糖尿病ではの90%以上の方に、抗GAD抗体、抗IA-2抗体などの自己抗体が陽性になります。

1型糖尿病の症状

1型糖尿病の症状は2型糖尿病と同様に高血糖の時は下記のような症状がでることがあります。

  • のどが渇く
  • トイレの回数が増える
  • 尿の量が増える
  • 急激に体重が減少する
  • 疲れがひどい、全身がだるい

1型糖尿病の治療方法

インスリン療法

1型糖尿病は、インスリンが作られなくなることが原因であるため、インスリン療法が必須です。1型糖尿病におけるインスリン治療の基本は、不足しているインスリンをできるだけ健康な人の生理的な分泌パターンに近い形で補充し、血糖をコントロールすることです。生理的なインスリン分泌とは、基礎インスリンといわれる少量ずつ常に分泌されているインスリンと食事を摂取した後に大量に分泌される追加インスリンというの2つのインスリン分泌パターンをしており、これによって血糖値を正常に保っています。

実際には、血糖値を測定し、食事や運動量に合わせてインスリン量を調整します。医師などと相談しながら、インスリン投与量や調節方法を決めていきます。インスリンの補給方法にはペン型注射器による頻回皮下注射法とインスリンポンプによる持続皮下インスリン注入療法(CSII: continuous subcutaneus insulin infusion)があります。また、インスリン製剤は作用する時間によって超速効型インスリン製剤、速効型インスリン製剤、中間型インスリン製剤、混合型インスリン製剤、配合溶解インスリン製剤、持効型溶解インスリン製剤の6つに分けられ、患者さんの病状やライフスタイルに合わせて最適なインスリン製剤を組み合わせます。

強化インスリン療法

1型糖尿病の治療は強化インスリン療法が基本です。強化インスリン療法とは、頻回注射療法あるいは持続インスリン皮下注入療法(CSII) に加え、血糖測定をおこないながら、自らインスリン注射量を調整し、血糖をコントロールする治療法です。

①頻回注射療法

血糖値を測定しながら、基礎インスリンとして1日1~2回、中間型または持効型インスリン製剤で、追加インスリンとして毎食前に1回ずつ計3回、超速効型または速効型インスリン製剤で補充します。ペン型インスリンを使用し、血糖値を測定しながらインスリン注射の量(単位)を調節しながら行う方法で、多くの人はこの方法で血糖値をコントロールしています。

②インスリンポンプ療法

インスリンポンプ療法は持続皮下インスリン注入療法(CSII)により行います。 一般的には、ペン型インスリンによる頻回注射によっても血糖が十分にコントロールすることが難しい症例、重症低血糖が頻回に起こる症例、妊娠を希望しているまたは妊婦さんなど、より厳格な血糖管理を必要とする場合などに多く選択されます。血糖値をモニタリングしながらインスリンポンプと連携しながらおこなえるSAP療法というものもあります。

インスリンポンプは微量なインスリン調節(基礎インスリンは0.05U/時、追加インスリンは0.1U/時ごと)ができ、より生理的インスリン分泌に近いパターンでのインスリンの補充が可能です。ペン型のインスリンを取り出す必要がなく、追加投与が容易であり生活の自由度が上がります。明け方の血糖値の上昇(暁現象)の改善にも役立ちます。

インスリンポンプ療法を適切に行っていくうえでは、注意点を患者さん自身が十分に理解しておくことも重要です。自己血糖測定を頻回に行ったり、機器のトラブルの際に一時的にペン型のインスリン注射法に移行できることが必要です。経済的側面も課題となることがあります。

食事療法・運動療法

1型糖尿病でも食事療法と運動療法は基本の治療です。

食事療法

日本人の食事摂取基準を参考に、年齢や活動量などを考慮した栄養所要量を摂取エネルギーとします。特に小児・思春期では、年齢、身体や精神面の成長に応じた対応が不可欠で健康維持のための食事摂取が必要です。食事量や食事内容に応じたインスリン補充を工夫していきます。しかし、食べ過ぎて血糖値があがると、必要なインスリン量が多くなり、体重が増えやすくなり肥満や脂質代謝異常なども起こしやすくなります。糖質、蛋白質、脂質、ビタミン、ミネラルなどバランスの良い食事をすることが大切なことです。食事制限ではなく、あくまでも食事療法です。

運動療法

基本的には一般的な健康維持のための運動療法であり、特別な内容ではありません。1型糖尿病での運動療法は血糖コントロールを安定化させ 、心臓や脳の血管合併症のリスクを低下させる効果があります。また、健康状態の向上や肥満防止にも役に立ちます。食事療法、インスリン治療により血糖コントロールが良好でかつ進行した合併症がなければ、どのような運動でも可能です。

食事療法とともに運動療法を継続すると、インスリンが効きやすい体になります。ただし、激しい運動は血糖を変動させる要因となることも知っておくことは大切です。例えば、日中にマラソン、登山など高度なの運動(種目は限りません)をした場合、日中に加え夜間に血糖が下がることもあり、注意を要します。こまめに血糖測定を行って確認をすると安心です。運動前のインスリンの減量や補食をして自分自身で血糖を調節できるように、主治医や看護師、管理栄養士などと相談するとよいでしょう。

食事療法や運動療法とインスリン治療を適切に行いながら、健康な人と同じような生活をして、合併症を予防しながら治療を継続していきましょう。

膵臓移植・膵島移植

膵臓移植

膵臓移植は、糖尿病専門医による治療を継続する中でも血糖コントロールが困難であり、合併症が危惧される場合に適応されるもので、ドナーの種類により「脳死または心停止膵臓移植」と「生体膵臓移植」に分かれます。日本では欧米に比べ、1型糖尿病患者数が少ないこと、脳死ドナー(提供者)が少ないこともあり膵臓移植数は多いとはいえません。移植手術後は拒絶反応を防ぐため、免疫抑制剤による治療が必要です。

脳死または心停止膵臓移植

脳死または心停止に至った方から提供された膵臓を移植するもの。ドナーが見つかると日本臓器移植ネットワークに登録された患者の中からレシピエントが選択され、緊急の移植手術が行われます。

生体膵臓移植

存命の血縁者または配偶者より提供された膵体尾部(膵臓の半分)を移植するもの。
※膵臓と腎臓を同時に移植する膵腎同時移植の場合は、腎臓の1つも移植。

膵島移植

膵島移植は、ドナーの膵臓からインスリンを分泌する能力をもつ膵島だけを取り出して、1型糖尿病患者の肝臓内に点滴で移植する治療法です。膵臓移植よりもドナー、レシピエント双方に負担が少ない療法ですが、膵島を分離したり生着する過程で多くの膵島が、失われることがわかっており、治療効果という側面での課題があります。膵臓移植と同様に移植後の拒絶反応の治療のため、免疫抑制剤の内服が必要となります。

1型糖尿病についてのよくある質問

1型糖尿病についてよくある質問をまとめました。
1型糖尿病について気になる点がありましたら、
こちらの内容をご確認ください

1型糖尿病は完治するのですか?

1型糖尿病は自己免疫の異常で、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されることで発症します。現在はインスリンを適切に補充する方法により血糖コントロールを行います。インスリンを使用せずに1型糖尿病の治癒をめざす治療として、「膵臓移植」や「膵島移植」の治療、研究がすすめられています。1型糖尿病が治る病気になるように、世界中の多くの医療者や研究者が1型糖尿病の完治のため日々研究を重ねています。

1型糖尿病でも食事制限は必要ですか?

基本的には食事制限を必要としません。1型糖尿病での食事療法は、患者さんの年齢や性別、活動量などに応じた一日の必要栄養を過不足なくとること、すなわち健康な人と同じような栄養バランスがとれた規則正しい食事をとるということが基本となります。おやつの量が多い、偏った食事をしている、肥満の方などは適切な食事栄養バランスをめざす食事療法が必要となります。

1型糖尿病はどの年代に多いですか?

1型糖尿病の発症のピークは10-13歳ですが、どの年齢でも発症します。非常に少ないですが、70歳代、80歳代の発症も報告されています。

1型糖尿病の合併症はどのような病気ですか?

糖尿病の合併症は慢性の合併症と急性の合併症に大きく分けられます。慢性の合併症は、高血糖に長く続くと血管がもろくなり、全身の臓器に障害が起こります。慢性の合併症は 細小血管障害、 大動脈障害の大きく二つに分けられます。細小血管障害は、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症があります。大血管障害は、脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症のほかに、歯周病や感染症も起こりやすくなります。

急性の合併症は、インスリン不足によるケトアシドーシスがあげられます。ケトアシドーシスを引き起こす誘因としては、インスリンの自己中断、風邪や胃腸炎で十分に水分や食事がとれなくなり(シックデイといいます)発症することがあります。昏睡状態になることもあり十分に注意しなければならない合併症です。

子どもが1型糖尿病なのですが、運動はしても良いのですか?

小児・思春期には体力の運動能力の向上、運動習慣の形成のためにも運動は重要なものと考えます。ただし、低血糖への対応のために、個々の状況に応じた運動前のインスリン量の調節や運動前、運動中、運動後の補食をし、適宜血糖自己測定を行い、状態を確認するということは必要となります。時には上手くいかないことも経験するかもしれませんが、お子さんのチャレンジ精神を妨げずに自分自身の血糖調節能力を身につけることは可能です。年齢、心身の発達に応じた対応も必要となります。

日常生活で気を付けることはありますか?

インスリンを適切に補充し、血糖をコントロールしていれば、食事、運動、仕事など日常生活が制限されることはありません。血糖値が高い状態がつづいたり、血糖値の変動幅が大きいと合併症の心配が出ますので、血糖値を正常範囲内に近づけていきます。逆に、低血糖をおこすこともありますので、ブドウ糖や糖を含む補食の準備をしておくといざという時に安心です。できる限り規則正しい生活を送ること、ストレス管理も大切です。あまり多くを心配せず、血糖値のコントロールの仕方や治療についてなど、困ったことは医師に相談して、一緒に解決していきましょう。

1型糖尿病でも妊娠・出産は望めますか?

妊娠・出産は可能です。ただし、合併症が進んでいる場合や血糖コントロールが悪い場合などは、お母さんやおなかの赤ちゃんに過剰な負担がかかってしまいます。インスリン製剤や飲み薬なども中止や変更したほうが良いものもありますので、計画的な妊娠と何より血糖コントロールを良好にすることが大切です。

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