脂質異常症とは血液中のコレステロールや中性脂肪が異常値を示している状態です。脂質異常症そのものに自覚症状はありませんが、動脈硬化を起こす主な原因となり、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞など生命に関わるような重大な病気を引き起こします。数値が異常でも高血圧と同様に症状がないためサイレントキラーと呼ばれます。
セルフチェック
下記の項目に当てはまる方は
脂質異常症のリスクが高い状態です。
生活習慣の改善や、病院での検査が必要です
- 健診でコレステロールや中性脂肪が高いといわれた
- 家族の中に脂質異常症の人がいる
- 脂っこいものをよく食べる
- 外食やコンビニ弁当が多い
- 魚料理はあまり好きでない
- アルコールを毎日飲む習慣がある
- 甘いジュースをよく飲む
- 高血圧や糖尿病を治療している
- まぶたの上に黄色く隆起したものができている
検査方法
当院では、次の4つの検査で
脂質異常症の診断を行います。
各種検査と問診を
組み合わせることにより
正確な診断が可能になります。
血液・尿検査
血液中のコレステロールや中性脂肪に加え、肝臓や腎臓の機能、血糖やHbA1c、貧血の有無、甲状腺ホルモンのバランスなどを確認します。
心電図、レントゲン
心筋梗塞の既往、不整脈、心肥大などの確認をします。
心臓エコー
心臓の動きや形態、弁膜症などの病気の有無を確認します。
頚動脈エコー
脳に血液を送る大切な血管の狭窄がないかを確認します。
名東区メディカルケア内科の
脂質異常症(高脂血症)治療の強み
STRENGTH. 1検査結果が当日にわかり、治療に反映できる
当クリニックでは最新の迅速検査機器を導入しております。血液、尿検査、体組成器分析機器など、当日に結果がわかり速やかに治療が開始できます。
STRENGTH. 21次予防と2次予防で根本的な予防対策に取り組む
当クリニックでは、「病気を予防する」ということを重視しております。 脂質異常症になっても将来、それによって動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわるような病気を発症しないようにすること(2次予防)に加え、そもそも脂質異常症のように動脈硬化を引き起こすような病気にならないこと(1次予防)の双方に取り組んでいます。特定健診などの積極的な受診や、すぐにお薬に頼らない生活習慣の改善を基本としています。
STRENGTH. 3専門医による適切な診療・治療
内科学会、内分泌学会、糖尿病学会認定の専門医が全身状態、お一人お一人のライフスタイルなどをみながら診断と治療を行っていきます。脂質異常症だけでなく、糖尿病、高血圧、痛風、肥満などトータルに治療が可能です。
STRENGTH. 4脂質異常症の治療の基本となる食事、運動療法を重視
当クリニックでは医師と共に管理栄養士が食事・栄養指導を行っております。薬に頼るだけでなく、生活習慣の修正により、肥満や脂質異常症、高血圧、耐糖能異常など多くの生活習慣病の治療および予防にもつながります。
脂質異常症の方の食事についての詳細はこちら
脂質異常症(高脂血症)とは?
脂質異常症の種類について
脂質異常症とは以下の3つの状態のことを言います。
- 高LDLコレステロール血症
- 低HDLコレステロール血症
- 高中性脂肪(トリグリセリド)血症
脂質異常症の診断基準
LDLコレステロール |
境界域高LDL-C血症 |
120~139mg/dl |
高LDL-C血症 |
140mg/dl以上 |
|
HDLコレステロール |
低HDL―C血症 |
40未満 |
中性脂肪 |
高トリグリセリド血症 |
150md/dl以上 |
※中性脂肪は食事の影響を受けやすいため、8-12時間絶食後に採血、測定した値で判断します
高コレステロール血症は実質的に高LDLコレステロール(悪玉コレステロール)血症のことを意味します。LDLコレステロール値が高いほど、心臓や脳の動脈硬化による病気のリスク(危険度)が上がることが多くの研究で示されています。
治療によりそのリスクを減らすことは可能です。適切な治療により将来の心筋梗塞や脳梗塞などを予防することで健康寿命をのばすことができます。
家族性高コレステロール血症
高LDLコレステロール血症、黄色腫、若年性冠動脈硬化症を主な特徴とし、遺伝子変異と考えられています。若い頃から心臓の血管に動脈硬化を引き起こすため、食事などによる自己管理だけでなく、医師による指導や薬剤による治療が必要となります。
脂質異常症になる原因
脂質異常症になる原因としては、下記の項目が考えられます。
- 遺伝的な要素
- 高カロリー・高脂肪の食事や運動不足など生活習慣に起因するもの
- 果物や甘いお菓子の食べ過ぎ
- アルコールの飲み過ぎ
- 喫煙
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質ホルモン分泌異常などのホルモン分泌異常
- 糖尿病、腎臓や肝臓疾患など
- ステロイドホルモンや避妊薬などのお薬によるもの
脂質異常症が引き起こす他の病気とは
脂質異常症を放置していると下記のような病気につながる可能性があります。早めに病院を受診することで他の病気の予防につながります。
動脈硬化やそれに伴う心筋梗塞などの病気
LDLコレステロールや中性脂肪が上昇し、HDLコレステロールが低下することで動脈硬化を起こしやすくなり、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高くなります。足の先への血管の動脈硬化がおこると閉塞性動脈硬化症という疾患のリスクも高くなります。
急性膵炎や糖尿病
中性脂肪はおよそ700mg/dl以上になると急性膵炎が発症することがあり注意が必要です。糖尿病が合併しやすいことも知られています。
脂質異常症(高脂血症)の治療方法
脂質異常症の治療は生活習慣の改善とそれに加え薬物による治療があります。
食生活の改善
高LDLコレステロール血症の改善には、コレステロールの多い食品を減らして、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を取り過ぎないようにしましょう。高トリグリセリド血症には糖質やジュース類などの取り過ぎに注意し、アルコールも控えましょう。魚料理や大豆製品、食物繊維を多く含んだ食材を積極的に取り入れることも大切です。
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運動
ウォーキング、サイクリング、水泳などの有酸素運動をとりいれましょう。一日30分以上、週に180分以上行うことが推奨されています。
内服薬による治療
食生活の改善や運動などの生活習慣を変えても数値の改善が見られない場合は、内服薬による治療を行うことがあります。すでに動脈硬化がみられるかた、糖尿病や高血圧のあるかたには早期の改善を必要とするため、コレステロールや中性脂肪を低下させる薬が必要となります。
薬物療法
高LDLコレステロール血症に対する薬剤は下記の3種類です
- 1.スタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
- 2.エゼチミブ(商品名ゼチーア)
- 3.PCSK9阻害薬
特に1のスタチン系薬剤は安全性と有効性が示されています。個々の患者さまの病状に合わせたお薬を1種類または組み合わせて処方します。
脂質異常症(高脂血症)を予防するために
高基本は食生活に気をつけることです。肉類や乳製品などの動物性脂肪を控えめにして、EPA(イコサペントエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれている新鮮な青魚を積極的に取り入れましょう。豆腐や納豆などに代表される大豆製品やイモ類、根菜類、きのこ類、海藻類などの食物繊維もたっぷり取りましょう。お菓子類、甘いジュース、アルコールなどを控えることも予防につながります。
脂質異常症(高脂血症)についてのよくある質問
脂質異常症についてよくある質問をまとめました。
脂質異常症について気になる点がありましたら、
こちらの内容をご確認ください
- 脂質異常症の薬はいつからはじめたらよいですか?
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すでに狭心症や心筋梗塞の病気をされた方は、病気の再発や悪化を予防するために直ちに薬剤による治療が必要です(二次予防)。一次予防に対しては、リスクが低い方は生活習慣の改善で経過を見ることがありますが、リスクが高い方は積極的に薬剤による治療を開始します。リスクの評価は危険因子(喫煙、高血圧、低HDLコレステロール血症、耐糖能異常、若年発症の冠動脈疾患の家族歴)と年齢、性別を元にリスクを評価します。どの段階でも生活習慣の改善を行うことは基本治療となります。
- 中性脂肪が高いとどうなるのですか?
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血液中の中性脂肪が高い状態が続くと動脈硬化のリスクが高まります。食事からとった糖質や脂肪がエネルギーとして使われなかった場合は、中性脂肪として肝臓や皮下に蓄積され、ひいては肥満や糖尿病の引き金となります。
- 脂質異常症では喫煙や飲酒を一切しない方が良いでしょうか?
-
アルコールを飲む量と飲む機会を減らすことが必要です。一日に日本酒1合、ビール大瓶1本、ワイン1杯程度とし、週に2~3日の休肝日をもうけることは健康を維持するために大切です。また、喫煙はLDL(悪玉)コレステロールが増加、HDL(善玉)コレステロールが低下します。喫煙によりがん、心臓病、脳卒中、糖尿病などを発症する確率が高くなることが様々な研究から示されています。タバコを吸っている方は、健康寿命を延ばすためにもぜひ禁煙に取り組んでほしいです。
- 食事で気をつけることを教えてください
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脂質異常症の方の食事では、適正体重を維持するために、エネルギーの過剰摂取に注意する必要があります。
バランスの良い食事をめざし、食物繊維や大豆たんぱくを積極的にとりましょう。また、緑黄色野菜には抗酸化作用のあるβ―カロテンや、ビタミンも豊富に含まれているため、動脈硬化の予防になります。
動物性脂肪や生クリームやバターなどの乳製品のとりすぎはLDL(悪玉)コレステロールを増やす原因となります。菓子類、果物、ジュースなど糖質のとりすぎは中性脂肪が上がる原因となりますので、とりすぎないように注意しましょう。
ゆっくりとよく噛んで食べること、アルコールは節度ある適量にしましょう。
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- 中性脂肪が高いのですが、どのような治療法がありますか?
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高中性脂肪血症の治療は食生活や運動などの生活習慣の改善が最も重要です。糖質を含む菓子類やジュースなどの過剰摂取、アルコールの飲み過ぎが一因となっている場合もあります。脂肪肝や内臓脂肪がたまっている状態の方が多いため、体重を減らすことは効果的です。糖尿病を合併している場合は、併せて糖尿病治療も行っていくことも重要です。中性脂肪の値やそのほかの疾患のリスクに応じて、EPAおよびDHAのオメガ3(ω3)脂肪酸製剤やフィブラート系の薬剤の薬を勧められる場合もあります。
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い場合は、何に気をつけたらよいですか?
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低HDLコレステロール血症の原因は、喫煙、肥満、運動不足です。運動により数値が上がることがあり、中性脂肪が高いかたには併せて効果的です。トランス脂肪酸の取り過ぎに注意し、魚料理(DHAやEPAが豊富な青背の魚)を積極的に食べることもすすめられます。