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生活習慣病

高血圧予防と改善のための具体的な塩分のとり方・食べ方

高血圧と塩分
2021.02.18
生活習慣病

塩は天然の防腐剤として長く日本人の食に利用されてきました。また、”いい塩梅”といわれるように、料理の美味しさはわずかな塩加減で決まります。

健康診断で高血圧を指摘され、減塩に取り組もうと思う方は多いと思います。

お塩は減らさなくてはいけないけれど、味の決め手にもなるもので、上手にとりいれたいものです。高血圧の方向けに、お塩と仲良く付き合っていくコツをお教えしたいと思います。ちょっと血圧が気になる方にとっても、より健康になれるそんなヒミツをお伝えします。

塩分以外の要素で味に深みを―高血圧予防・高血圧改善のコツ その①―

出汁

旨味成分を活かす

鰹節・昆布、干しシイタケや干し貝柱、きのこ類などは旨味の宝庫

酸味を利かせる

レモンやすだちの柑橘類、黒酢やワインビネガーなどのバリエーションある

辛味を利かせる

唐辛子、ワサビ、胡椒、柚子胡椒などで味にパンチを

香辛料を利かせる

山椒、カレー粉などのスパイスなどで味の幅を広げる

風味を活かす

胡麻やクルミなどのナッツの香ばしさ、ごま油やオリーブオイルの香り、

香味野菜を活かす

シソ・みょうが・生姜・ニンニク・ネギ、ハーブ類などの香りを楽しむ

調理を工夫して適塩に―高血圧予防・高血圧改善のコツ その②―

調理の仕方で塩分を抑える

調味料の工夫

味付けの要になる調味料の塩分を理解し、賢く使いましょう。

塩分が多くなりがちな和食メニューだけでなく、洋食メニューを献立に取り入れる

和食はご飯がすすむ塩気多め、一方洋食は油脂類多めでそれぞれの美味しさをつくっています。

汁物はだしをきかして薄味に、具沢山にして汁量を1日1/2杯(汁椀半量)を目安に

汁椀1杯で1.5~2gの食塩量

調味料を入れるタイミングに注意

  • 煮物や汁物は出来上がる寸前又は調理直後に味付けをすると味がぼけず、しっかり味を舌で感じることが出来るため、下味をつけるより少量の調味料で仕上がる
  • 煮汁などの煮詰めすぎは塩分が高くなる味に仕上がるので注意
  • 水分が多いサラダや和え物は食べる直前に調味料とあわせる
  • 温野菜は熱いうちに調味料をかけると少量の調味料でも味がしみ込み、冷めても美味しい

旬の素材や新鮮な材料を選ぶ

素材本来の美味しさを味わえるため、必要以上に調味料を使わなくて済む

見た目より塩分が多い加工食品に注意!加工品・塩蔵品より生の食品を!!

  • 肉の加工品であるハムやソーセージ、魚の加工品であるかまぼこや竹輪などの練り製品には製造過程で塩が使われるため、食べる時は味付けの調味料を控えたり、下茹でをすることで多少塩分を抑えることができます
  • チーズは種類によって塩分量がことなる

フレッシュタイプ(カッテージチーズやモッツアレラチーズ)のチーズなら塩分控えめ

  • 干物、塩魚は保存性を高めるために塩が使われているため、塩分の調整ができる生魚の方がおススメ
  • パンの製造に塩は重要な役割

パンと合わせる食事は塩分を控えるように意識しましょう

  • 麺類は種類によって塩分量がことなる

麺は茹でることにより塩分がゆで汁に流れでることも大きなポイント。

逆に、塩分0gの乾スパゲッティは塩茹ですることで麺に塩味をつけるため、合わせるソースは塩分控えめに(トマトソースならトマトのカリウムも摂取できおススメ)

味にメリハリをつける献立作り

献立内の塩分を一様に制限してしまうと、高血圧予防の食事は味気なく食の楽しみも半減。そんな時は
味付を「普通の味」、「薄味」、「塩分ゼロ」と組み合わせてみましょう。
(例えば…おかずは普通の味、汁ものは薄味、副菜は塩分ゼロにして味のバランス調整)

調理器具は食材量にあったものを

料理を作る際、食材量に対して使用する調理器具が大きすぎると、必要以上に調味料を使いすぎてしまうことがあるので注意。適当なサイズなら、調味料が食材にまんべんなく行き渡るので、少ない調味料でもしっかり味がしみ込み美味しく仕上がります。

各調味料の塩分量 №1

<塩>

調味料 食塩(精製塩)
分量 小さじ1 ひとつまみ 少々 軽くひとふり 強くひとふり
親指、人差し指、中指 親指と人差し指の2本
の3本でつまんだ量 でつまんだ量
塩分量 6g 1~1.5g 0.5g 0.5~0.6g 0.9~1.0g

※あら塩(天然塩)は小さじ1(5g)で塩 分5.0gになります。
※”ひとつまみ”、”少々”は手で量りますから人の手の大きさによって違いがでます。あらかじめ、自分の量を知っておくと良いでしょう。
※容器から塩をふりだす場合、使用する容器の穴の大きさによって違いがでてきますから、注意が必要です。
※塩の種類
“塩”といっても実はいろいろな種類があり、それぞれの特徴があります。大きくは精製された高純度のサラサラとした雑味のない「精製塩」と、精製されずミネラルが豊富で複雑な味のある「自然塩(天然塩)」とに分けられます。さらに自然塩には、粗塩、焼き塩、岩塩などといろいろなタイプがあります。

「精製塩」は純度が高いので塩の辛みが際立っており、純粋に辛い味を感じるのが特徴。

「自然塩(天然塩)」は海水に含まれるミネラル分(カリウム、マグネシウム、カルシウム)を多く含むため、強い塩辛さはなく、旨味や甘味(コク)、若干の苦味があるのが特徴。

塩を控えることだけでなく、塩の成分にも注目をして上手に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

<ソース類>

種類 ウスター 中濃 お好み焼き
分量 大さじ1:18g 大さじ1:21g 大さじ1:18g
塩分量 1.5g 1.0g 1.0g

 

<醤油類>

種類 濃口 濃口減塩 薄口 薄口減塩 たまり だししょうゆ ポン酢しょうゆ
分量 大さじ1:18g
塩分量 2.6g 1.4g 2.8g 2.2g 2.4g 1.3g 1.3g

 

<味噌類>

種類 米味噌
西京 信州 赤色辛 だし入り
分量 大さじ1:18g
塩分量 1.1g 2.1g 2.2g 2.5g 1.9g 1.8g

各調味料の塩分量 №2

<ドレッシング類>

種類 和風 フレンチ ごま マヨネーズ マヨネーズ
低カロリータイプ
ノンオイル クリームタイプ
分量 大さじ1:15g 大さじ1:12g
塩分量 1.1g 0.5g 0.5g 0.3g 0.5g

 

<調味ソース類・他>

種類 オイスター トマト 焼肉の めんつゆ すし酢 顆粒 顆粒 有塩バター
マーガリン
ソース ケチャップ タレ ストレート 和風だし 中華だし
分量 大さじ1:18g 大さじ1:15g 小さじ1:3g 大さじ1:12g
塩分量 2.1g 0.5g 1.2g 0.6g 1.5g 1.3g 1.4g 0.2g

※「日本食品標準成分表2020年版(七訂)」より算出
※各調味料の塩分量はメーカーによりことなりますので目安量とお考え下さい。

塩分を摂り過ぎない食べ方―高血圧予防・高血圧改善のコツ その③―

塩分をとりすぎない食べ方

主食はできるだけ味付きではない白米を

麺類の汁やスープは残すと決める

  • 全部飲んだら5g以上の食塩量になることも!
  • 例えば…醤油ラーメンのスープを半分量だけ飲んだら塩分3割カット

味付けを確認してから調味料を

料理を前にすると味わう前から無意識に、条件反射的に調味料をかけていませんか?

その味付けは本当に必要かを意識してみましょう。

毎食必ず野菜や海藻を食べて塩出し

体内の余分な塩分を排出してくれるカリウムは野菜と海藻にあり

※腎障害のある方は医師や管理栄養士に相談を

適温料理は一番のごちそう

温かい料理は温かいうちに、冷たい料理は冷たいうちに(料理の温度で味の感じ方が変わる)

汁物は1日1回程度を目安に

ご飯のおともになる漬物・佃煮類は少量でも注意

少ない量でもご飯がすすむ塩分過多な味

醤油やソースはかけるよりもつける

かける加減よるつける加減の方が自分でコントロールしやすい

食べ始めは薄味のものから

最初に味の濃いものを食べると、濃い味に舌が慣れてしまい薄い味を感じなくなる

噛み応えのあるもの食べ物を

しっかりよく噛む食べ物は、噛む時間が長くなるため口の中に味が行き渡り、満足感を得やすい

口中調味で味わい豊かに

ばっかり食べ(肉だけ、ご飯だけ、汁物だけを食べること)よりも、ご飯とおかず類を交互に食べることで、それぞれの旨味や味、食感で満足感を広がり、噛む回数が増える

外食・市販弁当・惣菜の注意点―高血圧予防・高血圧改善のコツ その④―

一般的に味付けが濃いため、利用する頻度をできるだけ少なくする

塩分量の表示をチェックして、自分に合った塩分量のメニューを選ぶ

普段食べている料理の塩分量を把握しておくことも重要

単品メニューよりは定食を。単品メニューには野菜メニューの追加を。

外で食べる味が濃い分、家庭での味付けは常に薄味を心がける

麺類はここに注意

  • 汁は飲まない
  • つけ麺にする
  • 具沢山のメニューを選ぶ
  • 野菜や海藻をトッピング
  • あんかけメニューは塩分たっぷりのあんが麺にしっかり絡まるので注意

サラサラの汁よりとろみがある分、舌に感じる塩味がゆっくりなため知らず知らずのうちに塩分過多に

和定食はここに注意

  • 副菜から食べる料理を考えてみる

主食や主菜(おかず)からメニューを選ばず、付け合わせのメニューや小鉢などの副菜がどの程度つくのか、それは野菜や海藻、きのこ類なのかをチェック

  • おかずはたれや味付けが濃いものや加工品食品を利用したものをさける
  • ソースや醤油は使わないのが一番!かけるならつける。レモン汁も強い味方。
  • 汁物は具沢山を選び、具だけを食べて汁は飲み干さない
  • 付け合わせの漬物や佃煮は残すように心がける

市販弁当はここに注意

  • メインのおかずしかないものより、野菜などの副菜の種類が豊富なお弁当を選ぶ
  • こってりとした味付けのタレやソースのおかずは減らす
  • お弁当のご飯は白ご飯にかぎる
  • カップ味噌汁は味噌を半分だけ溶く
  • おにぎりは白いご飯自体にも塩味があり、具材によって塩分量が変わるので注意

おにぎりの塩加減はコンビニサイズのおにぎり(100gのご飯)に対して約1gといわれ
います。

  • 味付けご飯のおにぎりは塩分高めなので、あわせるおかずは薄味が必須

総菜はここに注意

  • 味が濃い煮物類には味付けをしていない食材をプラス

ひじきや切干し大根などの煮物に、茹でただけの野菜(青菜や根菜など)や豆類、水切り
した豆腐などを加えてボリュームアップし塩分ダウン

  • サラダは緑黄色野菜がたっぷり使われているものを選び、ドレッシングの塩分にも注意

いろいろ塩分量

※調理方法や使用量によりことなります。※七訂食品成分表2020より算出

食品・料理に含まれる1人前の塩分目安量(主食編)

塩分量
g
ご飯類 寿司 麺類 パン類
7  担々麺 7.8g 豚骨ラーメン 7.4g
6  味噌ラーメン  6.3g
 釜めし 6.0g  醤油ラーメン 6.0g カレーうどん 6.0g
 鍋焼きうどん 5.8g 塩ラーメン 5.6g
5  うな重 5.4g  ちらし寿司 5.2g  きつねうどん 5.4g 山菜そば 5.4g
4  牛丼 4.4g  天ぷらそば 4.9g 冷やし中華 4.7g
 かつ丼 4.3g  鉄火丼 4.3g  ソース焼きそば 4.2g
3  親子丼 3.8g オムライス 3.8g  にぎり寿司 3.3g
 天丼 3.8g カレーライス 3.7g  ミートソース 3.4g 明太子パスタ 3.4g
 ナポリタン 3.2g
2  カルボナーラ 2.9g
ざるそば 2.7g  サンドイッチ 2.4g
 トマトソースパスタ 2.1g  照り焼きバーガー 2.3g
1  チーズバーガー 1.7g フィッシュバーガー 1.6g
 いなり寿司2個 1.4g  ハンバーガー 1.2g
 おにぎり梅 1.4g  太巻き2切れ 1.0g  フランスパン2切れ60g 1.0g
0  鉄火巻き1本 0.6g  食パン6枚切り1枚 0.8g
 ロールパン2個60g 0.7g
 ご飯 0g  クロワッサン1個50g  0.6g

食品・料理に含まれる1人前の塩分目安量(主菜編)

塩分量
g
魚料理 肉料理 鍋料理 卵料理・大豆製品
5  ちゃんこ 5.3g
4  すき焼き 4.8g
 キムチ 4.3g 寄せ鍋 4.0g
3  肉じゃが 3.0g
2  ハンバーグ 2.4g  オムレツ 2.3g
1  秋刀魚塩焼き 1.8g  唐揚げ 1.8g 生姜焼き 1.8g 麻婆豆腐 1.9g
 シュウマイ 1.5g 揚げ出し豆腐 1.7g
 塩サケ 1.4g アジ開き干し 1.4g
 ぶり照り焼き 1.4g  とんかつ1枚 1.1g 厚揚げの煮物 1.4g
さば味噌煮 1.0g  焼き鳥2串 1.0g  茶碗蒸し 1.1g
0  カツオたたき 0.7g  厚焼き卵 0.7g
 マグロ刺身 0.5g 納豆 0.6g
 目玉焼き醤油ひとかけ 0.5g

食品・料理に含まれる1人前の塩分目安量(副菜&汁物編)

塩分量
g
野菜料理 ご飯のお供 漬物 汁物
2  野菜煮物 2.4g  インスタント味噌汁 2.3g
 梅干し1個13g 2.2g  コンソメスープ  2.0g
1  ひじき煮物 1.7g  ぬか味噌漬けきゅうり5切れ30g 1.6g  わかめスープ 1.7g
 マカロニサラダ 1.6g  お茶漬けのもと1袋6g 1.5g  たくあん漬け5切れ30g 1.3g コーンスープ 1.5g
 海藻サラダ 1.2g  塩辛20g 1.3g すじこ25g 1.2g  味噌汁 1.2~1.5g
 きんぴらごぼう 1.0g  明太子20g 1.1g  具沢山味噌汁 1.0g
0  ポテトサラダ 0.9g  海苔佃煮15g 0.9g たらこ20g 0.9g
 おひたし 0.8g  塩昆布5g 0.9g  白菜キムチ30g 0.7g
 野菜炒め 0.7g  昆布佃煮5g 0.4g ふりかけ小1 0.3g  きゅうり浅漬け30g 0.5g
 酢の物 0.6g もずく酢60g 0.1g  味付のり小5枚 0.2g  白菜塩漬け30g 0.5g

食品・料理に含まれる1人前の塩分目安量(その他編)

塩分量
g
調味料 加工品 乳製品 おつまみ類
6  食塩小さじ1(6g) 6g
5
4
3  鶏がらスープの素大1 3.6g
 和風だしの素大1 3.2g
2  薄口醤油大1 2.9g
 濃口醤油大1 2.6g
 コンソメ1個(5g) 2.3g オイスター
ソース大1 2.2g
 味噌大1 2.2g
1  ウスターソース大1 1.5g  ちくわ中1本80g 1.2g  さきイカ20g 1.4g
 ポン酢大1 1.4g 和風ドレッシング大1 1.1g  はんぺん中1枚80g 1.2g
 中濃/お好み/とんかつソース大1 1.0g  かまぼこ2切れ40g 1.0g  ビーフジャーキー20g 1.0g
0  トマトケチャップ大1 0.6g  さつま揚げ小1枚30g 0.8g  プロセスチーズ1切れ(20g) 0.6g  チーズたら20g 0.6g
 フレンチドレッシング大1 0.5g  ボンレスハム1枚20g 0.6g  カマンベールチーズ1切れ(16g) 0.3g
 マヨネーズ大1 0.3g  ロースハム1枚20g 0.5g  牛乳200ml 0.2g 粉チーズ大さじ1 0.2g  柿の種
ピーナッツ入り30g 0.3g
ポテトチップス
うす塩25g 0.3g
 バター・マーガリン大1(8g) 0.2g  ベーコン1枚20g 0.4g  クリームチーズ25g 0.2g  するめ10g 0.2g 豆入りかきもち1枚 0.2g
 酢小1(5g) 0g  ウインナーソーセージ1本20g 0.4g  ヨーグルト100g 0.1g  揚げせんべい1枚6g 0.1g

 

人が感じる味の7割は嗅覚によるものとも言われています。おいしそうな見た目、食欲をそそる香り、キッチンから聞こえてくる華やかな調理音、噛んだときに広がる食感など五感をフルに活かし、食べることに集中することも減塩につながりそうです。
減塩・節塩を特別なことと考えず、毎日何気なくあたりまえのように食べている食べ物や料理から少しずつ薄味を美味しいと思える舌に育てていきましょう。

当クリニックでは、管理栄養士が医師の指示に基づいて、個別の疾患や生活スタイルにあわせた「栄養指導」を行っています。食事を楽しく美味しく味わうことは喜びでもあります。自分なりに無理なく続けることができ、より効果的な方法を具体的にわかりやすくお話することを心がけています。高血圧や生活習慣病でお悩みの方、健康で過ごしたい方はぜひ、ご相談ください。
当クリニックの栄養指導についてはこちらを御覧ください

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今村 智美  管理栄養士

あなたらしさを生かした健康づくりのご提案と、笑顔で取り組める継続的なサポートをご提供します。 食事療法にはあまり関心がないという方も一度、食事や栄養について一緒に考えましょう。

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